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むし歯は多くの人がかかる一般的な病気ですが、歯周病に次いで歯を失う大きな原因となっています。お口の中に繁殖したむし歯菌は、飲食物の糖分を酸に変えて、歯を溶かしていきます。むし歯は最初期ならフッ素塗布などで改善することもできますが、ある程度進行すると歯を削る治療が必要となります。歯は削るほど抜歯に近づいていきますから、ぜひ歯科医院と一緒に予防に取り組んで、大切な天然歯を守りましょう。
むし歯は、「細菌」「糖分」「歯質」「時間」の4つの要素が絡み合って発生します。この関連性を適切に理解できていれば、効率的なむし歯予防ができますので、以下にそれぞれの要素を説明します。
お口の中にはむし歯の原因菌が存在しており、ネバネバの物質を出して歯垢(プラーク)を作り、その中で増殖します。さらに、細菌は酸を出して歯を溶かすので、お口のケアを適切に行って、原因菌を増やさないことが大切です。特に寝る前の歯みがきは重要な役割を持っています。
むし歯菌は飲食物の糖分を酸に変えて歯を溶かします。特に砂糖を含むものや、甘い炭酸飲料はむし歯が促進しやすい環境を作るので、注意が必要です。お子様が喜ぶからと言って、甘いものばかり与えないようにしましょう。
歯質が弱いと、むし歯にかかりやすいことが知られています。フッ素は歯質を強くできます。市販のフッ素配合歯磨き剤も有効ですが、歯科医院のフッ素塗布はさらに高い予防効果を発揮します。
むし歯菌の酸は時間をかけて歯を溶かすので、食後の歯磨きでむし歯リスクは低減できます。また、食後のむし歯ができやすい環境は唾液の作用で徐々に解消されます。ダラダラと飲食を続けると唾液の作用が発揮されにくいので、食事やおやつの時間を管理することも重要です。
歯の一番表面にあるエナメル質が白く濁った状態です。溝の部分が茶色っぽくなることもありますが、見た目にはほとんど変化がありません。
酸がエナメル質を溶かし穴が空いています。細菌が内部に進入しているので、ブラッシングやフッ素塗布による再石灰化では根本的な治療に結びつきません。痛みや違和感などの自覚症状もほとんどありません。
エナメル質のさらに奥にある象牙質まで細菌が進行した状態です。象牙質はエナメル質に比べると柔らかいため、一気にむし歯は拡大します。歯髄(神経)の近くにまで進行していると、冷たい水や甘いお菓子、温かい食事がしみるようになります。
象牙質の中にある歯髄も細菌感染しています。歯髄には血管や神経が含まれているため、炎症によって激しい痛みが起こったり、知覚過敏が生じたりします。歯髄炎と呼ばれる症状です。
歯髄炎を放置すると、どこかの段階で痛みは消失します。これは細菌によって歯の神経が失われたためです。しかし、治ったわけではないので、放置していると根の先に炎症が起こります。最悪のケースでは顎の骨にまで細菌が感染するケースもあります。
近年、80歳以上の方のうち半分以上が歯を20本以上キープできるようになっています。ただし、たくさんの歯を残せるようになった反面、「根面う蝕(歯のつけ根部分にできるむし歯)」が増えてきています。 これは歯ぐきで包まれていた歯のつけ根部分が、歯周病などにより歯を支える骨が減っていくことで表に出てくるためです。中でも神経を抜いていると気づきづらいです。 ご高齢の方によくあるのですが、「歯が長くなった気がする」というのは、このように歯のつけ根部分が見えるようになったことが原因です。この部分はむし歯になりやすいため、日々のブラッシングと定期的にメインテナンスを受けることが大事です。
むし歯治療で歯を削った後には、詰め物・被せ物でカバーする必要があります。当院は保険診療だけでなく自費診療の詰め物・被せ物も扱っています。見た目の美しさや健康面に配慮したいと思う方は以下をご参照ください。
根管治療は歯の根っこの部分の治療です。 治療をする前の診断で大切なのは、「歯がどんな形をしているか」「どの歯が感染しているのか」「歯の根っこの感染具合はどうか」そして「治療をすればきちんと治せるのかどうか」をしっかり見定めることです。 悪くなっているからすぐに治療するのではなく、治療をしても歯を保てるかどうか(歯の寿命を縮めてしまわないか)を重視します。再治療・再根管治療は歯へのダメージがあるためです。 当院では「できるだけ歯を残してちゃんと噛める状態を保つ」ことを目標に根管治療を行っています。
症状が再発しないこと、それを実現できて根管治療は成功と言えると考えています。 近年の根管治療では、拡大鏡やマイクロスコープ、質の高い治療器具が使えるようになり、より適切な治療が行えるようになりましたが、それでも目で見ることのできない部分に感染があったり、歯の根っこが曲がっていて感染している歯髄に器具が届かなかったりといった理由で完全には治療しきれず、再発してしまうことも少なくありません。 当院ではRoot ZX3の根管治療機器と、高周波モジュールのHFC(高周波通電)機能を使用して、神経をとる際に高周波を流す事で細い根管や治療が難しい副根まで焼灼することができ、治療後の痛みを抑制することができます。また感染を起こしている根管に対しては根管内外の感染組織、汚染物質の焼灼が行え、焼灼後人体の治癒作用により症状の改善が期待されます。
毎日歯磨きすることはむし歯や歯周病予防の基本ですが、セルフケアでは取りきれない歯垢や歯石があるのも事実です。そのため、3ヶ月に1回程度は歯科医院でプロによるメインテナンスを受けることをおすすめします。